神社には、一年を通して様々な祭事、また古くから伝わる言い伝えや、専門的な言葉、道具などがたくさんあります。 ここでは毎回これらのことについて「神社豆知識」として紹介します。

神社豆知識 バックナンバー

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稲作神事「虫送り」

 

日ごとに暑気が増し、いよいよ本格的な夏の季節となってまいりました。野山は瑞々しい深緑におおわれ、田園では緑色の稲がすくすくと立ち並び、清々しい風景が見られます。
同時にセミやカブト虫をはじめ、色々な昆虫もたくさん目にします。中でも、可愛らしい虫もいればハチや毛虫のように害をもつ虫もいます。田園でもやはり稲穂を食べたり、腐らしたりして稲の育成に支障をもたらす虫もいます。

現在では農薬や殺虫剤などの薬品で消毒して虫が寄りつかないようにしたり、駆除したりするのが一般的です。しかし、古代から伝わる虫除けの風習には「虫おくり」という田畑の中の虫をおびき寄せて、遠くへ送り運び去ってしまう風習があります。
この「虫おくり」ですが、各地で色々な形で行われております。たいていは夕刻時に参集してご神前にて神事を行い、参加者や田畑をお祓いしてお清めしたあと、松明を燃やし明るくし、歌や楽を奏でて畦や周囲を回り歩いて松明の明かりに虫をおびき寄せて、そのまま遠くの野外や川原へ運び去ってしまう方法です。
このような形の習わしは、神社の教えから通じているところがあります。生命あるものをむやみに消滅や駆除せずに、別の場所で過ごして頂くという観念が見られます。私共においても、例えば厄除けや災難除けなどのご祈願をするときに 災厄はその場で消滅するものでなく、お祓いして身から遠ざかってもらい、その災厄は神さまのお力によって清らかなものにかえてもらいます。
現在、テレビや新聞などでも「食」に対する意識がとても注目されています。虫も食べないような強い毒性のある薬品を散布した食品を食べ続け、人体や牛や馬などの動物までも、病気にかかりやすくなってしまっています。さらには、土壌をはじめ川や海まで汚染し、地球環境に悪影響を及ぼしてしまう結果となっています。
やはり、自然界のものは自然の力で浄化し、大小に至るまでの生命の植物連鎖を世界中の方々が改めて深く認識をし、次世代へ良き環境を引き続けて行くことが私どもの使命であると思います。
おしまいに、夏の風物詩「虫おくり」を通して大自然の恵みに感謝するとともに、これまで環境を大切にしてきた古代人の知恵と思想を見直してみるのも良いかもしれません。
まだまだ暑い日が続きます。夏ばてには十分に気を付けて良き夏を過ごしてください。